学生のとき、スキー・キャンプの専門店で数年ほど店員をしていた事があります。専門店ともなると本当に様々なお客様がいらっしゃるのですが、その時に「このお客さん買い物が上手だな」とか「このお客さん損してるなあ」とか色々思った事があります。今日は上手にウクレレを買うコツのお話。
家電店でもなんでもそうだと思うのですが、正直、店員の「アタリ」「ハズレ」ってありますよね。機能の優位性とか、長所、短所、売れ筋なんかを聞きたくて色々質問をしても「さあ」とか「わかりません」ばっかり帰ってくる人はハズレ。そういう人は大抵1つのモノしかお勧めしてきません(だから他のものと比較されるといきなり詰まる)。
逆にものすごく詳しくて「色々教えてくれる店員」もいます。お客さんのニーズをくみ取りながら、たとえば冷蔵庫でも洗濯機でも環境や使途に合わせて「提案型」の営業を行ってくれる店員は「大当たり」です。買った側も満足できますよね。
こういう店員は一般量販店だと「アタリ」と「ハズレ」に大別されますが、何がしかの分野で「専門店」と呼ばれる店になればなるほど、この「当たり率」は上がります。何故って「専門店」なんて大抵ディープな印象の場所な訳で、そこで働くという事はマニアックなお客人と会話が合うようなこれまたディープ(その分野が好き)な店員が多いわけです。大抵すごく詳しい人が多い。
そういう専門店(たとえば楽器屋)は、なかなか入るのにも勇気がいりますが、周りに詳しい友人などが一切いない中で「自分に合った楽器を購入したい」なら行ってみるべきです。マニアックな店員の中にはみなさんが予想される通り「変な人」も当然いるんですが(笑)、その分野の話では案外盛り上がってくれるものです。
さて、今度は逆に元専門店の店員から言わせてもらうと、みなさんが買い物をされる時に「大きな勘違い」をされているので、そのことを書いておきます。
それは……
(A)専門店には上手な人しか来ない
(B)専門店は初心者お断りである
ということです。
たまに、上記のまんまのお店がありますが(笑)大抵はこの思考は間違っています。常連が店員と談笑しているような店に「すごく入りにくい」のはわかりますが、向こうも商売なのでちゃんと選んでいる人には味方をしてくれます。
まず(A)ですが、たとえば楽器屋だったとしても一般的に上級者であってもよっぽどでなければギターやウクレレを10本も20本も持っていることは稀でしょう。どう言う事かというと「楽器の本体は節目でしか買わない」って事です。その節目はきっと「最初の1本」「上達して買い換え(足し)」「その後マニアックに買い足していく」……となった時、楽器屋で楽器を探している人の大半は上記3パターンの最初の1か2しかありえない訳です。
ですから、そもそも臆する必要がありません。みなさんと同じ理由で来ているんです。
「楽器を持ってない人」だから「楽器屋で買う」んです。すごくシンプル。
さて、それでは臆する事なく買いましょう!というタイミングで、今度は元「専門店の店員の立場」から購入する時に2つの「上手に買い物をするためのコツ」を書いておきます。
それは、
(1)知ったかぶりをしない
(2)カモにならない
ということです。
1と2は真逆に見えてその実、根っこは同じところにあります。
つまり 「カモになりたくないから知っているフリをする」んですね。
でもこれは本当にもったいない。知らないんだから「知らない」と言えば良い。「知ったかぶり」は思っている以上にバレています。そういうお客様は店員から見ると尊厳を汚すわけにもいかないからどうしても「お客様主導の接客」になるんですね。だから、正直店員によっては「間違いを正す機会がないまま」お客さんが買ってしまわれるケースもあると思います。店員が「初めて会った」お客様の知識に「それ、間違っていますよ(古い考え方ですよ)」などというのは相当勇気がいりますからね。
「じゃあ、どうすんのさ」って話なのですが、カモになりたくないなら最低限「予算感」だけ持っていくと良いでしょう。ウクレレだったら本体と周辺合わせて「3万!」とか言えば大体「選べる範囲」のはずです。
また、以下のように聞くのもありです。
「初心者なんですけど、ある程度選べるくらいの金額感で全部揃えたらいくらになりますか?」とか「いくつか候補を出してもらって最初の一本を選びたいのですが、2~3本お勧めのものと、その違いを紹介してもらえませんか?」とか。
入門の下限モデルと言うのは大抵あって「一番安いやつどれですか?」と聞かれた瞬間「それです」としか答えられなくなる(だって、その質問の答えは1個しかないですからね)。これは質問力の問題だと思うのですが、自分の目的は「ボッタクリにはあいたくないけど質にあった予算なら払う」という事のはずですから、店員には「その人の知識を活かした選択肢を提案してもらう」事が望ましいわけです。
ですから、なるべく「店員の知識が引き出せるような質問」をしましょう。
※カリスマ店員と素人がいたとして「一番安いやつどれですか?」では同じ答えしか引き出せませんよね。
これだけでも大分良いものを選べるはずですが、それでも「大丈夫かな」と思う人は「入門機で一番高い予算を払ったら幾らくらいになるんですか?」と聞いてみたり、2件目を回ってみて比較してみたりする事をお勧めします。まともな店員なら「初心者ならとりあえずこのくらいで良いと思います」みたいな回答が返ってくるはずです。無論、そのタイミングで「この10万円のやつは音が凄くいいから予算に上限がないのだったら最初から良いものを買っても良い」というタイプの提案もあるかと思いますが、そこまでの会話の中で「あ、コイツ信頼できそうだな」みたいなものは色々条件を出す事である程度引き出されていると思います。
キーワードは「素直に相談する」という事と「怖がらなくて良い」です。
ぜひ、みなさんも自分にあった最善の一本を見つけてください。
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